センター長あいさつこのページを印刷する - センター長あいさつ

地域医療教育センター長 吉村 康夫

 信州上田医療センター地域医療教育センターは、2011年4月1日、我が国の「地域医療再生計画」の一環として開設されました。以来当センターは、初期研修医の研修や医学部学生の実習を主たる業務とし、上小地区地域医療再生の核としての機能を担い13年が経過しました。私は2018年7月に信州大学医学部附属病院から当院に赴任後、センター長として職務に当っています。ここ2年間の初期研修医は1年目、2年目合わせて10名に達するようになり、当院独自の研修医の他、信州大学医学部附属病院の研修協力病院としてたすき掛け研修も受け入れています。2024年4月からは過去最高の11名(1年目6人(うちたすき掛け1名)、2年目5人)で研修をスタートしています。
 当センターでの初期研修の特色は、信州上田医療センターが地域の中核病院であり、多数の診療科で多様な疾患の診療を行っていることから、幅広い研修ができることです。また二次救急の後方支援病院として救急患者も多く、救急患者の初期対応は勿論、診断、治療まで一連の診療の流れを体験することができます。一方で総合診療科の外来も設置されており症候からの鑑別診断、専門診療への移行プロセスも学ぶことができます。全体教育としては各専門診療科指導医による研修医クルズスと救急外来、総合診療科症例の振り返りを行う救外カンファレンスをそれぞれ週1回行っており、当院主催のキャンサーボード(月1回)やICLS、緩和ケアセミナーなどの研修にも参加してもらっています。また各診療科とも研究会、学会への参加や演題発表指導も積極的に行っています。
 研修スケジュールについては各研修医の自主性を重んじ、その意見をカリキュラムに取り入れるよう心がけています。当院では研修予定はあらかじめ1年分を決定するということはなく、研修が進むにつれて変化する志向に応えられるように数か月分ずつ決めていく方法で研修計画を作成しています。また2024年4月より本格的にスタートした働き方改革にも対応し無理のない、むしろ余裕のある研修計画を月単位で調整しています。本年度以降の研修における変更点としては、(1)救急の並行研修において、いわゆる一晩泊っての当直は廃止して夜間は23時台までの準夜勤務としていること、(2)2024年4月より放射線診断科と救急科の常勤医が赴任しており2025年からはこの2診療科のブロック研修が可能になること、(3)研修医や実習学生の増加で手狭となった教育センター(及び研修医・学生控室)の移転(拡張)計画を進める、などがあります。信州大学医学部からの学生実習は2021年度から受け入れ人数を増やしたことで、実習期間中は研修医、学生で教育センターは活気に溢れています。
 当院を取り巻く環境は、上田駅や市街地に近い住宅地にあり、新幹線で首都圏にも1時間半程で行くことができますし、2024年3月の北陸新幹線金沢-敦賀伸延開業により関西方面への交通の選択肢が増えました。長野、松本、菅平、軽井沢にも1時間前後という恵まれた立地です。年々常勤医師数、研修診療科が増加して研修医数も増えたため、更なる研修環境の整備や充実した研修生活を送れる工夫を行っていきたいと考えています。是非とも当院での研修を検討していただけると幸いです。

2024年5月