膀胱がんの診断・治療についてこのページを印刷する - 膀胱がんの診断・治療について

診断

【症状】
膀胱癌の症状としてもっとも多いのは、無症候性肉眼的血尿(痛みなどのない血尿)です。ほかに、排尿困難や頻尿といった症状がみられることもあります。

【診断】
尿検査、超音波検査、尿細胞診、膀胱鏡検査などがあります。
さらに、がんの進行程度(病期)を調べる検査としてCT・MRI検査などを行うことがあります。

治療

【筋層非浸潤性(早期)がんの治療】

1.経尿道的腫瘍切除術 (TUR-Bt)
内視鏡を尿道から膀胱に挿入し、膀胱の病変部分(組織)を削り取る手術です。組織にがんがあるかどうか、また、がんが筋層に入りこんでいるかどうかを調べます(病理検査)。

初回TUR-Btの病理検査で腫瘍の悪性度が高いか、多発傾向の強い場合には、1-2カ月後に2回目のTURを行い、残存腫瘍や筋層浸潤の見落としがないかを確認します(セカンドTUR)。

2. 膀胱内注入療法
尿道から膀胱へカテーテルを挿入し、抗がん剤やBCG(ウシに感染する結核菌の毒性を弱めたワクチン)を入れる方法です。BCG膀胱内注入療法は週に1回のスケジュールで、6-8週続けて投与します。
 

【浸潤性がんの治療】

1. 膀胱全摘除術+尿路変向術
内視鏡でがんが取り除けない根が深いがんの場合、膀胱をすべて摘出します。骨盤内のリンパ節や尿道も一緒に取り出すこともあります。膀胱に隣接する臓器にがんが広がっていることがあるため、男性では前立腺を、女性では卵巣や子宮を一緒に取り出すこともあります。当院では開腹手術で行っています。

膀胱を取ってしまうと尿をためていた部分が無くなるため、尿の通りを新たに作る必要があります。この手術を「尿路変向術」といいます。方法としては回腸導管造設術が一般的です。腸の一部を切り離して尿の通り道として使用します。片側に尿管をつなげ、もう片側をお腹から外に出るように縫い付け、ストーマ(尿の出口)にします。尿をためるパウチ(袋)を付ける必要があります。他にも腸を袋状に縫い合わせて膀胱の代わりとして使用する「新膀胱」といった方法もあります。


再発や転移を抑えるために膀胱全摘の前後に化学療法を行うことがあります。

【進行転移がんの治療】

1. 抗がん剤治療
抗がん剤を使ってがん細胞が増えるのを抑える治療です。プラチナ製剤とよばれる種類の薬剤のほか、いくつかの薬剤を組み合わせて治療します。

2. 免疫チェックポイント阻害薬
患者さんの免疫を高めるように作用し、免疫の働きによってがん細胞を間質的に減らす方法です。

3. 放射線治療
がんのある部位に放射線を当てて、がん細胞にダメージを与える治療法です。また、がんによる出血や、骨への転移による痛みを軽減するためにも行われることがあります。

4.対症療法
患者さんの全身状態が良くない場合などは、苦痛や症状を和らげる緩和治療を行います。
 

【再発の診断と治療】

膀胱癌はとても再発しやすく、手術後2年以内は特に再発しやすいといわれています。表在性がんではTUR後、定期的に内視鏡検査などを行います。上部尿路(腎盂・尿管)にもがんが発生することもあり時々検査を行います。膀胱を取りだす手術(膀胱全摘除術)をした場合でも、リンパ節や膀胱から離れている肝臓、骨などの臓器の発生(遠隔転移)には注意が必要です。CT検査などを定期的に行います。転移が認められたら、化学療法が第一選択の治療となりますが、場合によっては手術や放射線治療、もしくはこれらの併用治療などを考慮します。