骨軟部腫瘍の診断・治療についてこのページを印刷する - 骨軟部腫瘍の診断・治療について

骨や軟部組織にできるがん(悪性腫瘍)を肉腫といいます.

診断

骨の腫瘍には骨そのものから生じる腫瘍(原発性骨腫瘍)とがん(肺癌,乳癌,前立腺癌など)が骨に転移した結果生じる腫瘍(転移性腫瘍)があります.いずれも,腫瘍の増大とともに骨の構造が壊されて腫れや痛みの症状が出ることもあります.通常はまずX線検査で異常がある部位に対して,CTやMRIといった画像検査を追加して良悪性の区別を予測します.最終的には異常部分の組織を一部採取する生検という検査で確定診断することがほとんどです.また軟部組織の腫瘍については,腫瘤(できもの)として自覚することが多いですが痛みがないものも多くあります.初診時にX線検査,超音波検査,CTで大まかな部位と性状を評価したうえで針生検(専用の組織採取針で腫瘍組織の一部を採取する検査)を行って良悪性を決めます.MRI検査も通常行います.
 

治療

骨・軟部組織の悪性腫瘍については,原発性腫瘍は原則手術で腫瘍組織を完全に切除します.悪性骨軟部腫瘍の手術は通常,周囲の正常組織を含めて切除する「広範切除術」を行います.ただし,一緒に切除する組織は腫瘍の再発を防ぐために必要な最小限の範囲なので,手足の切断が必要になることは殆どありません.また腫瘍の種類によって薬を用いた治療(化学療法)や放射線照射を併用することがあります.一方で転移性腫瘍(主に骨)の場合は,元の癌(原発)の治療に準じた薬物治療を行いながら,手術や放射線治療を適宜組み合わせる形で治療を進めます.いずれの場合も,骨・軟部肉腫治療では治療後の運動機能の維持も重要で,治療前から治療後の機能(活動性)を予測し,より正常に近い日常生活ができるように訓練介入(リハビリテ-ション)を行っていくことも大切です.個々の状況に応じた適切な治療法の提案,訓練指導を行いながら治療を進めていきます.