放射線治療についてこのページを印刷する - 放射線治療について

当院の放射線治療の特徴

当院は放射線治療システムを2014年に更新し、以前に比べ(安全で)精度の高い放射線治療が実施可能となりました。また、放射線治療担当者が日々装置の品質管理を行い、治療精度の維持にも努めております。
当院の治療装置にはX線写真やCTを撮影する機能が搭載されており、治療直前にそれらの画像を取得し治療部位の位置合わせを正確に行い治療する方法(画像誘導放射線治療)を実施することができます。この治療方法を用いることにより、治療精度の向上や正常組織への副作用の低減が期待されます。

当院は上小地域内で放射線治療を行っている唯一の医療機関として、他施設との連携のもと紹介患者さんに対して治療を行っております。また、より高精度の放射線治療が必要な患者さんに対しては他施設への逆紹介を行うなど、医療連携の体制を整えています。
放射線治療装置(リニアック)
操作室

当院で行っている主な放射線治療

各診療科の協力のもと、多くの悪性腫瘍や一部の良性疾患を対象に、根治や症状緩和を目的として、手術や化学療法と併用あるいは単独で、放射線治療(外部照射)を行っています。また、去勢抵抗性前立腺がん骨転移に対するRI内用療法も実施するなど、幅広い症例に対して治療を行っております。

放射線治療は、大きく“根治目的の治療”と“緩和目的の治療”に分かれます。

根治目的の治療

根治目的の治療では、放射線治療単独または放射線治療と手術や薬物療法を併用することで、「がんの根治・完治」を目指します。がん細胞を死滅させるために高い線量で治療する必要があるため、病巣周囲の正常臓器には一時的に強い悪影響が出てしまうことがあります。重い悪影響を最小限に抑えるために十分注意して治療計画を立てます。

緩和目的の治療

緩和目的の治療は、がんによる痛みなどの「症状を和らげることを目的とした治療」です。症状緩和のために必要最小限の線量で治療することで、正常臓器に大きな悪影響を与えないようにします。一方で、がん細胞が残るため症状が再度あらわれることがありますが、その場合は再度緩和目的の照射(再照射)を行うことも検討します。

 ▶緩和目的の治療の対象となる病態(一例)
  ・骨転移や腫瘍による痛み
  ・脊椎転移による痛みや麻痺・痺れ(脊髄圧迫)
  ・脳転移による頭痛や嘔気、その他の神経症状
  ・上大静脈狭窄による顔や手足の浮腫、呼吸苦など
  ・気道狭窄・閉塞による呼吸苦
  ・消化管狭窄・閉塞による通過障害
  ・腫瘍からの出血

緩和目的の治療の手順

① 放射線治療医が診察を行い、治療方法や想定される悪影響について説明します。
② 治療を行う姿勢で治療計画用のCTを撮影します。痛みが強い場合は、撮影前に補助器具で姿勢を
  固定したり痛み止めを服用していただきます。
③ 撮影したCTを確認し、放射線治療計画を作成します。放射線を照射する範囲、線量、回数を決定
  します。
④ 治療計画に沿って治療を行います。照射回数は通常1日1回です。
⑤ 副作用の発現に気をつけながら主治医とともに治療の結果を評価し、今後の治療方針に反映させま
  す。
放射線治療科では、がんの種類や患者さんの状態に応じて、主治医とともに治療方針を決めていきます。