口腔がんの診断・治療についてこのページを印刷する - 口腔がんの診断・治療について

口腔がんとは、口の中にできるがんの総称です。詳しく分類すると、舌がん、歯肉がん、口底がん、頬粘膜がんなどに分類され、舌がんの頻度が半数以上を占めています。進行した場合は頸部リンパ節や体の他の部分にも遠隔転移することがあります。病理組織検査から、扁平上皮がんというタイプの口腔粘膜上皮由来のがんという診断がつくことがほとんどですが、唾液腺がんや、悪性リンパ腫、悪性黒色腫といったタイプの場合もあります。発生要因としては、虫歯や合っていない義歯による刺激、喫煙や飲酒などが関連しているといわれています。
口の中にしこりや、潰瘍、表面粘膜の不整な増殖が生じて、食事を取ったりしゃべったりするときに痛みを伴ったり、時には出血がみられることがありますが、一方で痛みを伴わない場合もあります。

診断

口腔がんの診断は、まずは診察から始まります。口の中にしこりや、潰瘍や粘膜異常(白色病変や紅斑病変)などが生じた場合は、かかりつけ医院やかかりつけ歯科医院を受診して一度、診察してもらうことが重要です。それから、病院の歯科口腔外科・耳鼻科・頭頸部外科を紹介していだいて受診してください。
専門病院では、CT検査、MRI検査、頸部リンパ節超音波検査などによる診断が行われ、口腔がんの広がり具合や進行度、頸部リンパ節の異常などが検査されます。その上で、全身への転移の有無を調べるためにPET/CTセンターを受診されPET/CT検査が勧められます。そのようにして、各種検査を行った上で、確定診断のために、口腔がんの一部の組織を採取して、病理組織学的に顕微鏡でがんのタイプを同定します。画像検査によるがんの広がり具合から、T分類(口腔がんそのものの大きさ)、N分類(頸部リンパ節への転移の個数と部位)、M分類(遠隔転移の有無)
が決定されます(TNM分類)。そしてこのTNM分類をもとにステージ分類が行われます。ステージはI~IVに分類され、口腔がんの場合ステージI・IIは早期がんに分類され、ステージIII・IVは進行がんに分類されます。これらのステージとがんのタイプ(病理組織学的診断)により治療方法を決定します。
当院はCT・MRI・超音波検査が行え、PET検査は他施設に依頼です。

治療

口腔がんの治療について、ステージI・IIの場合は主に手術療法が第一選択となります。がんの部分をマージンをつけて切除し縫縮(縫い縮める)かあるいは、一部皮膚を体の部分から採取して移植することもあります。以前は、手術を行わず放射線治療のみで組織温存治療も行われていましたが、施設によりおこなわれているところとそうではないところがあります。 手術などの治療をおえて必要あれば、放射線の追加治療や抗がん剤の内服などを行うことがあります。
ステージIII・IVの場合は頸部リンパ節転移が生じている場合があるため、頸部郭清術といって頸部のリンパ組織とその周囲の筋肉やない頸静脈を含む切除術が必要であり、加えて口腔内のがんにマージンをつけて切除します。この場合は広い範囲で切除するため欠損部が大きくなるので、皮弁(有形皮弁や遊離皮弁)といって体の部分から大きく皮膚・筋肉を採取して移植する必要があります。さらに、腫瘍の再発を予防するために、手術後の放射線治療(約1.5ヶ月)や抗がん剤化学療法が必要になります。手術後や放射線治療期間中((放射線性口内炎)は口からものが食べられないことが多々ありますので、鼻から胃への管や、胃瘻などから流動食で栄養摂取を行います。その他、合併症として嚥下障害や構音障害を生じるため、術後の嚥下や構音のリハビリが必要になることがあります。
一連の治療を終えた後は、経過観察を行いCTやMRI、頸部超音波検査および診察で再発がないかどうか定期的な検査が必要です。
当院では早期がんの治療から進行がんの治療まで行っております。