前立腺がんの診断・治療についてこのページを印刷する - 前立腺がんの診断・治療について

診断

【症状】
前立腺がんの初期にはほとんど症状がありません。がんが進行して尿道を圧迫すると尿失禁や頻尿などの排尿症状が起こります。また、骨へ転移すると背中や腰の痛み、足のしびれなどが生じることがあります。リンパ節に転移して下肢のむくみなどを自覚する場合もあります。

【診断】
血中PSA(前立腺特異抗原)測定、直腸診、超音波検査、MRI検査などを行います。
確定診断のためには、前立腺の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無やがんの性質を調べる検査(前立腺針生検)を行います。当院では2泊3日の入院、腰椎麻酔にて行っています。局所麻酔の場合は1泊2日の入院で行います。

【病期診断】
生検検査でがんと診断が確定したら、がんの広がりや他の臓器やリンパ節への転移がないかを調べます。
CT、骨シンチグラフィーなどを行います。

治療

がんの進行度、患者さんの全身状態と意向を考慮して治療法を決定します。

1. 待機療法(PSA監視療法)
 比較的おとなしいがんで、がんが前立腺内にとどまっている場合に、治療をせずに厳重に経過観察のみを行う方法です。

2. 手術療法
手術により前立腺を摘出し、リンパ節郭清を同時に行います。開腹手術と内視鏡(腹腔鏡)を使った手術方法があります。
開腹手術は当院で行うことも可能ですが、最近はより合併症の少ないロボットを使用した「ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術」が行われることが多くなっています。適応があり希望される方はロボット支援手術の可能な施設へ紹介を致します。

3. 放射線療法
外照射として当院では3D-CRT(三次元原体照射)を行っています。約7-8週間程度の通院が必要になります。より治療成績の向上と合併症の軽減が期待される強度変調照射線治療(IMRT)を希望される場合は、可能な施設へ紹介致します。
小線源治療(密封小線源永久挿入治療)、粒子線療法(陽子線治療、重粒子線治療)といった方法もあります。希望される場合は可能な施設へ紹介致します。

4. 薬物療法
・ホルモン治療
前立腺がんを増殖させる男性ホルモンの働きを抑えることで、がん細胞の分化・増殖を抑えます。手術や放射線治療と併用する場合もあります。

・化学療法
ホルモン療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢(内分泌療法)抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer: CRPC)と呼ばれて、抗がん剤の適応となります。